長野県を代表する名所である善光寺と戸隠神社、そして鬼女紅葉伝説で知られる鬼無里を巡る日帰り旅に出かけました。歴史ある寺院と神秘的な神社、山あいの静かな里を訪ねながら、信州の奥深い魅力にふれる一日となりました。
菅平高原へ向かう道での小さなハプニング
群馬から長野善光寺へ向かうルートはいくつかあります。高崎から国道18号を利用して碓氷峠や軽井沢を通るルートと、吾妻から嬬恋を経由し、菅平高原を抜けるルートです。
2023年7月9日
この日は菅平高原を通ることにして、ナビをセットしました。前日に降った雨はすっかり上がり、朝から気持ちの良い青空が広がっていました。
早朝の菅平高原は静かで、曲がりくねった山道を走っていても、ほとんど他の車とすれ違いません。澄んだ空気の中を快適に走っていたのですが、思いがけない出来事が待っていました。
道路の先に、折れた木が倒れて道をふさいでいたのです。

私は車を降りて木をどかそうとしました。しかし、雨上がりで地面がぬかるんでいたため足を滑らせ、見事に尻餅をついてしまいました。
夫は車の中から見ていたのですが、突然私の姿が見えなくなったので何事かと思ったそうです。一緒に乗っていた娘も驚いて、二人で私の様子を見守っていました。
幸いケガはありませんでしたが、お尻はびしょ濡れ。朝の山の空気はひんやりとしていて、とても冷たかったのを覚えています。
今となっては家族で笑い話になっていますが、そのときは少し恥ずかしく、そして冷たい思いをしました。
その後、朝食は途中で見つけた松屋に入りました。濡れたお尻にはハンカチを当てて過ごしていたところ、食事を終える頃にはだいぶ乾いていて一安心。
善光寺へ向かう旅の途中で起きた、今でも忘れられない小さなハプニングでした。
仲見世を散策しながら参拝

いつも多くの参拝客で賑わう善光寺ですが、この日は本堂入口近くの駐車場に空きがあり、すぐに車を止めることができたのです。何度も訪れている場所ですが、こんなに近い場所に駐車できたのは初めてで、とても驚きました。
車を降りると、周囲がいつも以上に華やかな雰囲気に包まれていることに気が付きました。美しく着飾った女性たちが山車に乗り、多くの人々が行列を作っています。
私たちは特にお祭りを目当てに訪れたわけではなかったので、思いがけない光景に驚きました。
行列は善光寺本堂へ向かって進んでおり、私たちも自然とその流れに加わりながら歩くことになりました。賑やかな祭り囃子と多くの見物客に囲まれ、いつもの参拝とは違う特別な雰囲気を味わうことができました。

後になって調べてみると、この日は「ながの祇園祭御祭礼屋台巡行」が行われていた時期でした。偶然とはいえ、長野を代表する伝統行事に出会えたことは、とても幸運だったと思います。
しかし、本堂近くまで来たところで夫の様子が急におかしくなりました。
「少し頭がくらくらする……」
そう言いながら立ち止まり、顔色もあまり良くありません。せっかくのお祭りの賑わいの中でしたが、私は夫の体調が気になり始めました。
人込みと気温上昇が原因かもしれません。
楽しい旅の途中で起きた思いがけない出来事に、不安を感じながら夫の様子を見守ることになったのです。

戸隠神社へ向かう山道
夫は体調の異変を感じると、人混みの中にいるのがつらかったのか、一足先に車へ戻っていました。その時は、祭りの人出と気温の上昇が原因だろうと思っていました。
私と娘はもう少し善光寺周辺を散策してから車へ戻り、次の目的地である戸隠神社へ向かうことにしました。
戸隠へ向かう途中、特に予定していたわけではありませんが、目に留まった手打ちそば店に入ることにしました。まだ昼前だったため店内は空いていて、ゆっくり食事をすることができました。
この日の食事代は娘がごちそうしてくれました。
注文したのは天ぷらそばのセット。天ぷらは山菜が中心で、戸隠らしい内容でした。
実は私も娘も、そばがそれほど得意ではありません。それでも戸隠へ来たら戸隠そばを食べようと、私は毎回決めています。娘も同じ気持ちだったのか、特に何も言わず一緒に戸隠そばを味わっていました。

食事の後は、戸隠神社宝光社の大鳥居へ向かいました。
目の前に現れた長い石段を見た瞬間、「これは大変そうだ」と足がすくみました。しかし、いざ登り始めると意外にも足は軽く、思っていたよりも順調に進むことができました。
途中で周囲を見渡すと、私よりずっと若い男性が休みながら登っている姿も見えます。自分でも少し驚きましたが、毎日会社で使っている急な階段のおかげかもしれません。狭くて急な階段を日常的に上り下りしていることが、思わぬところで役立っていました。
私は神社について詳しい知識があるわけではありません。
それでも、戸隠の静かな空気や木々に囲まれた参道を歩いていると、自然と気持ちが引き締まります。
宝光社では由緒や歴史を深く理解していたわけではありませんが、ただ静かに手を合わせ、その厳かな雰囲気を感じながら参拝してきました。
旅先で出会う神社仏閣は、知識がなくても心を落ち着かせてくれる場所なのだと、改めて感じたひとときでした。
鬼無里神社へ

「この時の時点では見付からなかった鬼無里神社」
戸隠神社を後にして、私たちはこの旅の本当の目的地へ向かいました。
それは鬼無里(きなさ)の里です。
鬼無里という地名を知ったきっかけは、西島三重子さんの歌う「鬼無里の道」でした。美しいメロディーとどこか懐かしさを感じる歌詞に惹かれ、一度はその舞台となった場所を訪れてみたいと思うようになったのです。
今回の旅では、その歌にゆかりのある神社を訪ねることを楽しみにしていました。
しかし、残念ながら目的の場所まではたどり着くことができませんでした。
道に迷ったのか、時間の都合だったのか、今となってははっきり覚えていません。ただ、後で地図を見返したときには「もしかしたらあと少しだったのかもしれない」と思いました。
せっかくここまで来たのにという悔しさもありましたが、旅にはこういうこともあります。
思い通りにならないことも含めて旅の思い出になるのだと、自分に言い聞かせながら帰路につきました。
それでも、憧れていた鬼無里の里の空気に少しだけ触れることができたことは嬉しく、いつかもう一度訪れてみたいという気持ちが残りました。
旅には「行けた場所」だけでなく、「行けなかった場所」の思い出もあります。
鬼無里の里は、私にとってそんな忘れられない場所のひとつになりました。
鬼女紅葉伝説が残る里

鬼無里で目的の神社へ行くことはできませんでしたが、その後立ち寄った場所が私にとって印象深いものとなりました。
まず訪れたのは鬼無里農産物直売所です。そして、その向かいにある鬼無里ふるさと資料館にも入ってみることにしました。
館内には鬼無里に伝わる鬼女伝説が、絵とともに分かりやすく展示されていました。
そこには、平安時代に京の都から信州へ流された美女・紅葉が、やがて盗賊の首領となり鬼女として恐れられるようになり、最後は武将によって討伐されるまでを描いた悲劇の物語が紹介されていました。
歴史に詳しいわけではありませんが、美しい絵とともに語られる伝説を見ていると、鬼無里という地名に込められた長い歴史や人々の思いが伝わってくるようでした。


歴史に詳しいわけではありませんが、美しい絵とともに語られる伝説を見ていると、鬼無里という地名に込められた長い歴史や人々の思いが伝わってくるようでした。
そして帰り際、思いがけない出会いがありました。
展示の中に麻織物に関する資料があり、そこには群馬県岩島村の麻について紹介されていたのです。
思わず足を止めました。
岩島は私の故郷です。
さらに私の祖先は麻の栽培を生業としていました。旅先の長野県鬼無里で、まさか自分の故郷の名前を見ることになるとは思ってもいませんでした。
善光寺や戸隠神社、鬼無里を巡る旅でしたが、最後に待っていたのは故郷との思いがけない再会でした。
偶然と言えば偶然ですが、不思議な縁のようなものを感じます。
鬼無里へ来たからこそ出会えた展示。
帰りの車の中で、その不思議なつながりを思い返しながら、「縁があったのかもしれないな」としみじみ感じていました。
目的の神社にはたどり着けませんでしたが、それ以上に心に残る発見があった旅となりました。
信州の魅力を感じた日帰り旅
「善光寺・戸隠神社・鬼無里を巡る日帰り旅は、思いがけない出会いと故郷との縁を感じる旅になりました。


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