5月自家用車で行く、雨の平泉から石巻へ──夫婦で歩いた、忘れられない旅の一日

日帰り旅

2023年5月31日、朝5時。 雨の中を出発した私は、ずっと現地の天気が気になっていた。 平泉に着く頃には雨がやんでいて、それだけで少し救われたような気持ちになった。

■ 想像と違った平泉──続く坂道と、痛む左脚

中尊寺金色堂へ向かう参道は、思っていた以上に坂が続いていた。 私も夫も「平泉は平らな場所」だと思い込んでいたので、まずその勾配に驚いた。

私は西日本の旅で左脚を痛めていて、まだ引きずるように歩いていた。 その坂道は正直きつかった。 それでも、夫とふたりでゆっくり、ゆっくりと登っていった。

金色堂に着くと、さっきまでほとんど人がいなかったのに、 急に観光客が湧き出したように増えていた。 どうやら上までバスで来られる道があり、団体客が一気に到着したらしい。

NHKの番組で「一般公開は少ない」と聞いていた金色堂は、 この日は公開されていた。 その美しさは言葉にできないほどだった。

ただ、ところどころにお賽銭箱が設置されていて、 その多さに少しありがたみが薄れてしまったのも正直な気持ちだ。 私たちは静かに手を合わせ、そっとその場を後にした。

■ 道端の猫──旅の途中の小さな癒し

「我が家の猫マヨネーズ」

帰り道、御守りを売っている人のそばに猫がいた。 飼われているようにも見えたし、 こういう場所にいる動物はどこか“神の使い”のようにも思えてしまう。

夫も私も目を細めて見つめてしまった。 雨上がりの空気の中で、その猫の存在がふっと心を和ませてくれた。

■ 雨の三本木で出会った“奇跡の新米”

平泉を後にし、石巻へ向かう途中。 大崎市三本木の道の駅に立ち寄った。

そこで見つけたのは、5kg 3400円の新米。 この年は米が高騰していたので、この値段はまるで奇跡のようだった。 激しい雨の中で気持ちが沈みがちだったけれど、 この小さな幸運が旅の心を少し明るくしてくれた。

ここでお昼を済ませ、少しお土産も買って再び出発した。

■ 仙台で渋滞、豪雨──水族館は断念

「このまま行けば水族館に間に合う」 そう思っていたのに、仙台市に入るあたりから渋滞が始まった。

雨もさらに激しくなり、前が見えないほど。 私たちは水族館を諦め、宿のある石巻へ向かうことにし

た。

■ 石巻の夜──暴風の中の居酒屋へ

宿に着く頃には雨は小降りになっていた。 しかし、代わりに 経験したことのないような風 が吹き始めた。

それでも近くの居酒屋へ向かったが、 暴風でなかなか前に進めない。 押し戻されるような風で、こんな体験は初めてだった。

やっとの思いで辿り着いた居酒屋には、案の定、客は私たちだけ。 でも、それがかえって良かった。

料理はすぐに出てくるし、静かで落ち着く。 味も最高で、一人5000円ほどだったが大満足だった。

■ 平泉は“平ら”ではなかった

坂道、雨、風、渋滞、猫、新米、居酒屋。 予定通りにはいかないことばかりだったけれど、 そのすべてが旅の記憶を豊かにしてくれた。

そして最後に残ったのは、 「平泉は平らではなかった」という意外な印象と、 夫婦で乗り越えた一日の確かな手応えだった。

松島海岸と涙の午後──忘れられない、でもどこか笑える日

翌朝、私たちは松島海岸へ向かった。 私はまだ左脚を引きずっていて、細い道を歩くのは難しかった。 それをわかっていた夫は、私の代わりに「馬の背」の写真や動画を撮ってきてくれた。

画面に映るその道は、まるで梅の枝のように細く、 もし私が歩いていたら海に落ちていたかもしれない。 夫が代わりに見てきてくれたことが、胸にしみた。

■ 待ちに待った水族館へ

その後は、ずっと楽しみにしていた水族館へ。 大迫力の水槽、光の中を泳ぐ魚たち。 そして、なぜか心を奪われたのは🐧ペンギンの団体。 よちよち歩きとつぶらな瞳に、すっかりファンになってしまった。

水族館を出たあとは天然温泉へ。 湯に浸かった瞬間、旅の疲れがふっと溶けていくようだった。

■ お昼ごはんの誤算

お昼は「せっかくだから新鮮な海産物を」と思っていた。 しかし、私たちが選んだのは海側ではなく内陸の方。 そのせいか、目指していた“美味しいもの”には出会えなかった。

夫が携帯で検索して見つけた回転寿司は、 果てしない行列。 諦めて近くの白木屋に入ることにした。

■ 足を引きずる私と、気づかない夫

そのときだった。 私は痛む足を引きずりながら、大きなビルの周りを二周も歩いた。 気づけば頬に涙がにじんでいた。

でも、夫はそれに気づいていなかった。 夫の頭の中は“どこで食べるか”でいっぱいだったのだろう。 私はただ静かに歩き、静かに涙をこぼした。

■ そして、すぐそばの白木屋へ

今思えば、少し切なくて、でもどこか笑ってしまうような出来事だ。 あの日の涙も、痛みも、すれ違いも、 時間が経つと“旅の思い出”に変わっていく。

この日のことは、きっと一生忘れない。 そして、思い出すたびに少し笑ってしまうのだと思う。

バリューザホテル石巻/8897   走行距離575㎞

バリューザホテルは朝食が良かったです、そして人間が暖かかった、素泊まりの旅をしていて一番あったかい朝食を頂いて、夫と共に感激致しました。

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