雨が降ると、リンは遠くから帰ってくる。
他の猫が家の軒下で雨宿りしている間、
リンだけは濡れることを気にせず、
まるで背泳ぎでもしてきたような姿で帰ってくる
卵と一緒に流れてきた子猫
リンは、私が養鶏場に勤めていたときに保護した猫です。
当時、その養鶏場は新しいシステムを導入したばかりで、経営者もまだもたついているような時期でした。
養鶏場は坂の上にあり、3棟の鶏舎から集められた卵は、太いベルトコンベアに乗って、順番に坂の下にある格納庫へ流れてくる仕組みでした。
そのベルトコンベアに卵と一緒に乗って、上から流れてきたのがまだ幼い黒猫でした。
その養鶏場には、太い蛇もいました。
もしこの子猫が蛇に遭遇していたら、飲み込まれていたかもしれません。
そう考えると、よく無事でいたものだと思います。
そして、大きな鳴き声には、理由がありました。
ベルトコンベアが動いて下へ流されてくるたびに、リンは必死になって、元いた場所へ戻ろうと、はい上っていき、また、下がってくるの繰り返しで恐怖のあまり、大きな声でないていたのでした、響き渡るほどの鳴き声でした。本来は猫はあまり泣かないそうです。
リンを捕まえて家へ

【皆親が違う猫たち、多分左側がりんご、ちょび、ぷーです】
私は、何とかこの子を助けなければと思い、何度も捕まえようとしました。
でも、コンベアが動くたびに子猫はまたはっていき、姿が見えなくなってしまいます。なかなか思うようにはいきませんでした。
そんなことを繰り返しているうちに、ある日、とうとう力尽きたのか、下まで流れてきました。
私はその瞬間を逃さず、ようやく捕まえることができたのです。
とりあえず、仕事が終わるまで逃げないように大きな入れ物に入れて確保しておき、仕事が終わると、そのまま家へ連れて帰りました、その間一日中ないていたのです。
家に連れて帰ったばかりの頃は、怖かったのでしょう。逃げようとばかりしていました。
それでも、少しずつ餌を食べるようになり、やがて私にも慣れて、だんだん懐いてくれるようになりました。
まだ、おっぱいが欲しいくらいの幼い子猫でした。
ちょうどその頃、家には授乳中の母猫もいたので、この子にもお乳を飲ませてもらえるかもしれないと思いました。
ところが、今回はうまくいきませんでした。
母猫は、お乳を飲ませてくれなかったのです。
快斗の時とは違いました。
大きな身体と太いしっぽが特徴のリン

リンは、他の猫とは少し違っていました。
女の子なのに身体が大きく、そして、しっぽも太いのが特徴でした。
養鶏場で一匹で生きていた頃から、家に連れて帰ってからも、どこか孤独な子だったように思います。
母猫のお乳を飲むこともできず、結局は一人ぼっちで育っていきました。
そんなリンでしたが、快斗とはとても良く面倒をみました。
りんは快斗だけには心を開いたのです。
快斗は、リンだけではなく、いろいろな子猫の面倒をよく見てくれる猫でした。
子猫がいると、まるで自分の子どものようにそばにいて世話をしてくれるのです。
そんな快斗の姿を見ていた夫も、快斗のことを本当にかわいがっていました。
一人ぼっちだったリンにとって、快斗はきっと特別な存在だったのだと思います。
【快斗の13年はこちらをお読みください】
雨の日に帰ってくるリン

リンには、もう一つ変わったところがありました。
雨の日に帰ってくると、びっしょりに濡れているのです。
他の猫たちは、それほど濡れていないのに、なぜかリンだけは全身ずぶ濡れ。
まるで、背泳ぎでもしてきたような姿で帰ってきます。
「いったい、どこまで行ってきたの?」
そう思うほどでした。
たぶん、リンはかなり遠くまで出かけていたのだと思います。
雨の中をどこから歩いて来るのか分かりませんが、帰ってくるといつもびっしょり。
それでも何事もなかったような顔をして家に入ってくるリンを見ていると、やっぱりこの子は、ほかの猫とは少し違うなと思いました。
最後まで読んで頂きありがとうございました。


コメント